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エタノールは消毒剤としても汎用されており、病院などでも、注射部位の皮膚や、手指、医療用具の消毒など、様々な場面で使用されています。
一般にアルコールといえばエタノールのことをいいますが、日本酒(約15%)やウイスキー(約45%)などのアルコール飲料に比べ、消毒剤として使うエタノールの濃度は高く(76.9〜81.4vol%)、手ピカジェルにもそれと同濃度のエタノールが入っています。

手ピカジェルのようなアルコール手指消毒剤を手にすり込んで使用すると、有効成分のアルコールは 20〜30秒で揮発してしまいます。 このため、アルコール手指消毒剤は、使った後に水で洗い流す必要がなく、手洗い場所がなくても手指消毒ができ、いつでもどこでも使用できるというメリットがあるのです。 もちろん、タオルなどを用いて拭き取る必要もありません。 ただし、アルコール手指消毒剤には洗浄効果はありませんので、目に見える汚れ等があるときは、あらかじめ流水、石けん等で汚れを落としてからお使いください。

病院で使用されている手指消毒剤には、アルコール製剤のように手にすり込んで使用するものの他に、液体石けんのように泡立ててゴシゴシと手をこすり、水で洗い流して使用するものもあります。
このような手指消毒剤には、グルコン酸クロルヘキシジンやポビドンヨードなどの消毒成分が高濃度含有されており、スーパーやドラッグストアで販売されている「抗菌石けん」とは成分・含有量ともに異なっています。
しかし、アルコール手指消毒剤については、家庭向けのものと病院向けのものとで、成分に大きな違いはありません。

アルコール手指消毒剤と石けん手洗いとの手指消毒効果の比較は、過去にたくさんの報告があります。これらの報告を見ると、いずれも、アルコール手指消毒剤の方が優れた消毒効果を持っていると結論づけています。
例えば、石けん手洗いと、アルコール手指消毒剤との30秒間の手指消毒効果を比較したところ、石けん手洗いでは1/63〜1/630まで手に付着している菌が減少しているのに対し、アルコール手指消毒剤では1/3000にまで減少したという報告もあります。
このため、病院などでは、石けんでの手洗いより、アルコールによる手指消毒の方が推奨されています。
病院に行くと、病室前にポンプの付いた速乾式消毒剤を見かけると思いますが、これが、アルコール手指消毒剤なのです。なお、石けんまたは消毒剤と水による手洗いであっても、確実に手洗いが行われていれば感染対策上問題ありません。
ただ、医療従事者にとって、忙しい中、わざわざ流し場へ行って手洗いをするより、アルコール手指消毒剤を使用する方が簡便で、確実で、実行性が高いと言われています。

人に病気を引き起こす微生物は、あるものは空気を介して、あるものはくしゃみや咳のしぶきを介してと、色々な感染経路によって人に侵入してきます。
このような感染経路の中でも、最も重要で人に病気を引き起こす頻度が高いと考えられているのが、「手指」を介した経路なのです。
このため、こまめに手指消毒をすることは、感染症にかからないためにはとても大切な行為なのです。
実際、病院での感染対策では、手洗い・手指消毒を最も基本的な手技と考え、一つの処置ごとに一回手洗い・手指消毒をするという「一処置一手洗い」の考え方が大変重要視されています。


手指消毒は、手に付いた微生物を無くす事が目的なので、特にいつ行わないといけないということはありません。手ピカジェルはいつでもどこでも手指消毒ができるのが特長なので、気になったときに使ってもらえばいいと思います。
ただし、赤ちゃんのお世話やお年寄り、病気で治療中の方の介護時には、念入りに手指消毒をすることをお奨めします。これらの方は、健康な人に比べ免疫力が低下しているからです。
もちろん、入院患者をお見舞いする時にも入念な手指消毒をお願いします。

アルコール手指消毒剤を正しく使って、重篤な副作用が起きたという報告は今までにありません。このため、副作用について過度に心配する必要はないでしょう。
ただし、まれではありますが、アルコールが体質に合わないアルコール過敏症の方もおられます。アルコールを使用して、かゆくなったり、赤くはれてしまったりする方は、アルコール過敏症の可能性があるので使用しない方がいいでしょう。

アルコールには手指などの皮脂を落とす作用があるため、アルコール手指消毒剤を頻繁に使用すると、手荒れが起こることはあります。ただし、市販のアルコール手指消毒剤には、保湿剤が含まれており、アルコール手指消毒剤が原因で、手荒れに悩むことはあまりないでしょう。
実際、「アルコール手指消毒剤VS普通石けんでの手洗い」、「アルコール手指消毒剤VS他の手指消毒剤」とで、どちらがより手荒れを起こしやすいかということを比較した過去の報告でも、アルコール手指消毒剤の方が皮膚に対する影響が低いことが明らかとなっています。
なお、手ピカジェルには、ヒアルロン酸ナトリウムなどの保湿剤がバランス良く配合されているので、手荒れを起こしにくい製剤といえるでしょう。
手荒れは、感染のもとになりますので、日頃からスキンケアには努めてください。



アルコール製剤を使う際は、次の点に注意してください。

石けんによる手洗いの場合でも同じなのですが、ムラがないようにしっかりと確実に手指消毒をすることが大切です。
特に、「指先」、「指の間」、「親指」は洗い残しをしやすい箇所です。これらの部分を意識して、アルコールを手指全体に行き渡らせるよう心がけてください。
手順に従って、手指全体にアルコールをすり込み、乾燥すれば手指消毒は完了です。だいたい20〜30秒が目安です。石けんや消毒剤を使った手洗いをきちんと行った場合では、タオルでの乾燥まで考慮に入れると、数分間は必要です。
短時間できちんと手指消毒ができるというのも、アルコール手指消毒剤の特長です。


補足:乾燥したら終了です。水やタオルは必要ありません。

手ピカジェルに年齢制限はなく、小さな子供であっても差し支えありません。子供は、いろんな環境表面に触れる機会が多いため、風邪などの感染経路となりやすいと考えられています。
しかし、小さな子供に手洗いをきちんとさせるのはなかなか大変です。
手ピカジェルのようなアルコール手指消毒剤は、水を使わず比較的簡単に使用できるので、子供を色々な感染症から守るためにも有用だと思われます。
なお、まだうまく手をこすり合わせられない小さな子供の場合は、保護者の方がお手伝いしてあげるといいでしょう。


新潟大学病院から山形大学病院に転任されて22年。
現在は、院内感染を防ぐための消毒剤や抗生物質の適正使用の研究、注射剤の配合変化についての研究など多岐にわたった研究活動をなさっています。
また、大学で教鞭をとり後進の育成をされたり、学会の実行委員長を務められたりと幅広くご活躍されています。
休日には趣味の長距離ドライブや海釣りなどでリフレッシュされています。
最近の悩みは、忙しすぎて休日が満足にとれないことだそうです。
役職:山形大学医学部附属病院薬剤部長/日本注射薬臨床情報学会会長/医薬品相互作用研究会会長/東北地区調整機構委員長
資格:インフェクションコントロールドクター(感染制御専門医)、栄養支援チーム(NST)専門薬剤師、指導薬剤師