手洗いの重要性

「風邪を引きたくない」「食中毒になりたくない」など、多くの人々が感染症から身を守りたいと思っています。人々の周囲には様々な病原体が身をひそめていて、油断につけこんで体内にはいりこんできます。そのため、私たちは病原体に感染しないように様々な対策を講じているのです。そのような対策の中で最も大切なことは「手洗い」です。

「外出から帰宅したら手洗いしましょう」「トイレのあとには手洗いしましょう」「食事の前には手洗いしましょう」などと言われているのですが、どうして手洗いが必要なのでしょうか?

学校や職場から帰宅するときには、バスや電車に乗車します。階段を上り下りすることもあるでしょう。このとき、吊り皮や手すりに頻回に触れることになります。もし、このようなところに、風邪ウイルスやインフルエンザウイルスが付着していたら、どうなるのでしょうか?当然のことながら、手指に病原体が付着します。そのような手で目や鼻の粘膜に触れれば、病原体はそこから体内に入ってしまうのです。

トイレでは洗浄レバーに触れたり、温水洗浄便座やスイッチに触れることがあります。そこには人々の腸管に住みついている病原体やノロウイルスなどが付着しています。トイレを済ませたあとに手洗いをしないと、それらの病原体が手指に付着したままになり、その手で食事をすれば病原体が口から入り込んでしまうのです。

このように病原体を周辺の環境表面から体内に容易に移動させる伝播経路が「手指」なのです。そのため、手洗いは感染を予防するために最も大切なことと言えます。しかし、手洗いするためには水道と石鹸が準備されなければなりません。常に手洗いができる環境が身近にあるということはないのです。手洗いするためには洗面所まで移動しなければならないのです。また、石鹸と流水による手洗いではハンカチやタオルが必要ですが、これらは複数回使用されているので、既に汚染されています。折角、手洗いしても手の水分を拭き取るときに、手指を再び汚染させてしまうのです。

最近はアルコール手指消毒薬が市販されていて、容易に購入できます。このような製剤には保湿剤が入っているので手荒れが極めて少なく、石鹸と流水に比較して、殺菌効果も強力です。そのため、病院では「石鹸と流水の手洗い」よりも「アルコールによる手指消毒」がおこなわれているのです。一般家庭や職場でもアルコール手指消毒薬を用いれば、手指消毒が徹底されることになり、多くの人々を感染症から守ることができるのです。