デング熱・マラリア

デング熱・マラリア

夏休みには東南アジアやアフリカといった地域に旅行に行く人は数多いと思います。海外赴任ということで長期滞在する人もいます。そのような人々にとって、現地での健康は大変重要ですが、様々な病原体が襲い掛かってきます。食物を介しては赤痢、チフス、コレラなどがあります。蚊を媒介する病原体にはデング熱やマラリアなどがあります。ここではデング熱とマラリアについてのお話しをします。

デング熱は昨年も東京の代々木公園を中心に問題となった感染症です。デング熱は4種類のデングウイルスによって引き起こされます。このウイルスは感染蚊に刺されることによって人間に伝播します。デング熱の主な症状は高熱、強い頭痛、眼球後部の強い痛み、関節痛、筋肉および骨の疼痛、発疹、軽度出血(鼻や歯肉の出血など)です。1種類のデング熱ウイルスに感染すると、そのウイルスに対する抵抗力はつきますが、別の種類のウイルスには感染します。このとき重要なことは、2回目・3回目というように複数回目の感染のときには重症化し、デング出血熱になる危険性があることです。デング出血熱の最初の症状はデング熱と同じですが、解熱しても症状が増悪し、出血傾向が著明となって、腹水や胸水が貯留してショックとなります。適切に治療しないと死亡します。デング熱にはワクチンも抗ウイルス薬もありません。症状に合わせた治療(点滴など)をすることになります。

マラリアはマラリア原虫によって引き起こされる感染症です。原虫は細菌やウイルスよりも高等な生物です。マラリアも4種類があり、熱帯熱マラリア、卵型マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリアがあります。発熱のパターンに特徴があり、熱帯熱マラリアでは毎日の発熱がみられます。卵形マラリアと三日熱マラリアについては初めは毎日発熱がありますが、その後は隔日となります。四日熱マラリアでも初めは毎日発熱するのですが、その後は2日おきとなります。このなかで最も恐ろしいのは熱帯熱マラリアです。マラリアは発熱、頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛などがみられますが、熱帯熱マラリアでは多くの赤血球が感染し、血管に詰まりやすく血液の流れを妨げてしまい循環障害となります。その結果、脳マラリアや腎不全などとなり、死亡することもあります。そのため、病院では熱帯熱マラリアとそれ以外のマラリアを区別するようにしています。治療については抗マラリア薬があるので、それを用いることになります。熱帯熱マラリアでは発症してから5日以内に治療を開始しなければ死亡率が高くなるので、迅速な受診と治療が必要です。

デング熱もマラリアも蚊を媒介して伝播する感染症です。そのため、蚊に刺されないようにすることが大変重要です。流行地域に旅行や仕事で訪れたあとに発熱などがみられた場合には病院に受診しますが、そのときには必ず渡航歴を伝えるようにします。