妊婦とワクチン

妊婦とワクチン

妊娠中の女性は胎児の安全を心配して、健康に大変気を使っています。特に、薬を不用意に使用しないようにしています。薬の副作用が胎児にダメージを与えることを恐れているからです。このような心配事はワクチンについても言うことができます。ワクチンを接種するとその副作用で胎児が障害を持つことになるのではないかなどと、妊婦が心配するのは当然のことです。

ワクチンを接種する場合、「生ワクチンか?不活化ワクチンか?」を確認してください。不活化ワクチンは体内でウイルスや細菌が増殖することはないので、胎児に影響はありません。妊娠3か月未満での接種であっても影響ないのです。しかし、この時期は自然に流産する可能性が高いので、不活化ワクチンを接種したあとに流産すると、ワクチンとの関連を疑う人もいると思います。そのため、妊娠中に不活化ワクチンを接種するときには、流産しても関連がないことを理解してから接種してください。一方、生ワクチンは基本的には妊婦には接種できません。ウイルスが増殖して胎児に何らかの悪影響を与える可能性が否定できないからです。

妊婦が風疹に罹患すると、胎児が先天性風疹症候群(難聴や心奇形など様々な障害がみられます)になる可能性があります。そのために、妊娠可能年齢の女性は妊娠していないときに、風疹ワクチンを接種しておくことが推奨されます。しかし、接種したあとに妊娠していたことが判明したら、どうすればよいのでしょうか?

風疹ワクチンは生ワクチンです。すなわち、ウイルスが体内で増殖するのです。弱毒化されたウイルスといっても元々は風疹ウイルスなので、胎児が心配になります。妊娠中に風疹ワクチンを接種したものの、妊娠を継続した321人の女性の子どもには先天性風疹症候群はみられなかったという報告があります。すなわち、生ワクチンの胎児への影響は理論的なものであり、実際に障害が発生するというエビデンス(根拠)はないのです。そのため、妊娠中に風疹ワクチンを接種してしまったということで、必ず中絶するというのは適切な判断ではないといえます。様々な危険性や問題点を考慮しながら判断することが大切です。もちろん、妊娠中の生ワクチンの接種を推奨するものではありません。理論的な危険性であるとしても、やはり、危険性のあることは避けていただきたいと思います。また、生ワクチンを接種してから1~2ヶ月は妊娠しないようにすることもお勧めしたいと思います。