「急性咽頭炎」「急性気管支炎」「急性鼻副鼻腔炎」

「急性咽頭炎」「急性気管支炎」「急性鼻副鼻腔炎」

次第に冬が近づいてきました。これからはインフルエンザや風邪が流行してくることでしょう。その結果、「急性咽頭炎」「急性気管支炎」「急性鼻副鼻腔炎」に罹患してしまうこともあります。急性咽頭炎は喉が痛く、唾液を飲むことが苦痛になります。急性気管支炎では咳がコンコンと続き、仕事や学業に差し支えます。急性鼻副鼻腔炎では鼻汁や顔面痛などがあり、苦痛を感じます。

このような感染症に罹患した場合には、一刻も早く治したいと思うのが普通です。そのため、抗菌薬を飲んで、治癒を促したくなります。しかし、米国疾病管理予防センターはこの3疾患(「急性咽頭炎」「急性気管支炎」「急性鼻副鼻腔炎」)には基本的に抗菌薬を使用しないように推奨しています。

まず、「急性咽頭炎」ですが、成人の咽頭痛の90~95%はウイルスなので抗菌薬は必要ありません。抗菌薬が必要となるのは、A群溶血性連鎖球菌による急性咽頭炎だけです。「急性気管支炎」についてもウイルス感染症であることが殆どなので、やはり、抗菌薬は必要ありません。咳嗽の期間には関係ないので、咳が長引いたから抗菌薬が必要ということはありません。「急性鼻副鼻腔炎」も、その殆どがウイルス感染症です。そのため、抗菌薬は必要ありません。例え、細菌性であっても、その多くで抗菌薬の効果が期待できないことが知られています。すなわち、「急性咽頭炎」「急性気管支炎」「急性鼻副鼻腔炎」の3疾患では基本的に抗菌薬は必要ないのです。

どうして、抗菌薬は必要ないとキャンペーンされるのでしょうか?それは抗菌薬には有害事象(※註釈)がよくみられるからです。何らかの薬物による有害事象で救急外来に受診する患者の5人に1人が、抗菌薬が原因だったのです。特に、小児では、抗菌薬が薬物有害事象の最も多い原因となっています。また、薬物有害事象を引き起こしているトップ15薬剤のなかで、抗菌薬は7薬剤を占めているのです。このような有害事象を発生させないために、必要のない抗菌薬を使用したくないのです。もちろん、抗菌薬が使用されていると耐性菌が出てくることがあるので、それも心配されています。

このようなことから、「急性咽頭炎」「急性気管支炎」「急性鼻副鼻腔炎」に罹患した場合には主治医が必要と判断しない限り、抗菌薬を求めないようにしましょう。ただし、「急性咽頭炎」の原因がA群溶血性連鎖球菌と確認された場合には抗菌薬が処方されることは知っておいてください。A群溶血性連鎖球菌に感染しているか否かは外来で簡単に検査できます。

(※註釈)薬物を投与された患者に何らかの好ましくない症状がみられた場合、薬物との因果関係がはっきりしなくても、それを有害事象といいます。