ノロウイルス

ノロウイルス

今年の冬はノロウイルスが大流行しそうです。これまでは、「ノロウイルスGⅡ.4」という種類のウイルスが流行していましたが、今度は「ノロウイルスGⅡ.17」が流行してきています。このウイルスは過去にも確認されたことがありますが、遺伝子変異をおこしたため、流行しやすくなっているのです。

ノロウイルスは下痢と嘔吐を引き起こすウイルスです。ノロウイルスによる食中毒は一年を通じて発生していますが、特に冬に多く発生します。食中毒に限らず、家族のなかにノロウイルスに感染した人が発生すると、他の家族に容易に感染してしまいます。

ノロウイルス胃腸炎に罹患した人は「突然の噴水のような嘔吐」を経験します。夜、熟睡していたら、気持ち悪くなって、突然嘔吐したとか、道を歩いていたら急に気分が悪くなって嘔吐したという具合です。職場の廊下で嘔吐してしまった人もいます。突然の嘔吐なので、トイレに駆け込む時間がないのです。

嘔吐するとき、吐物のなかの微粒子が空気中に浮遊することがあります。すなわち、空気中にノロウイルスが浮遊しているという状況なのです。このようなところに、たまたま居合わせてしまうと口を開けたときなどにウイルスが口の中に入り込んできます。そして、ノロウイルス胃腸炎になるのです。

ノロウイルスはごく少量のウイルスで感染を成立させることができます。一般的に、感染症を作り上げるには一定数の病原体が体内に入り込まなければなりません。1個の病原体が侵入すれば感染するということはなく、何百・何千という病原体が入り込む必要があります。しかし、ノロウイルスは10個未満のウイルスで感染させることができるので、極めて感染力の強い病原体といえます。留め針の頭の面積に付着している程度のウイルス量は1000人をノロウイルス胃腸炎に罹患させるのに十分であることが知られています。

ノロウイルスはウイルスに汚染した食物や飲み物を摂取することで感染します。潜伏期は12~48時間ですが、症状は1~2日で自然に消失します。但し、幼児や高齢者や入院患者では症状が4~6日続くことがあります。ノロウイルス胃腸炎で病院や診療所に受診する患者の殆どが小児です。しかし、ノロウイルス胃腸炎で死亡する患者の殆どが高齢者です。嘔吐のときに吐物を喉に詰まらせて窒息するとか、下痢嘔吐が厳しく脱水となり死亡するといったことが発生しています。

ノロウイルスはまな板などの表面に少なくとも2週間は生息できます。トイレのドアノブなどにも付着しています。そのため、ノロウイルスが付着している可能性のある環境表面は次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒をすることが大切です。この場合、1,000~5,000ppm(0.1~0.5%)の濃度が推奨されています。環境表面に糞便などの汚れが付着していると消毒効果が低下するので、次亜塩素酸ナトリウム消毒の前には糞便などの有機物を除くことが大切です。