咳エチケット

咳エチケット

インフルエンザシーズンが近づいてくると、「咳エチケットをしましょう」というキャンペーンが行われます。テレビや新聞などで「咳エチケット」という言葉を見かけるようになり、保健所や行政も広報などで啓発しています。「咳エチケット」はインフルエンザや風邪のような咳やくしゃみを介して、人から人に感染していく病原体を周囲の人々に伝播させないようにする社会的なマナーです。ですから、エチケットという言葉が用いられています。

人が咳やくしゃみをすると、口や鼻から飛び出す微粒子(これを飛沫といいます)が周辺に飛び散ります。1回のくしゃみによって約40,000個の飛沫が口や鼻から飛び散ることが知られています。飛沫は最大2メートルまで飛ぶことができるので、咳やくしゃみをした人から半径2メートル以内にいる人には飛沫が到達することができます。飛沫には水分が含まれているのですが、そのなかにインフルエンザウイルスなどが入っていると、周辺にいる人々の鼻腔や口腔から侵入して感染してしまうのです。咳エチケットはそのような人から人への感染を防ぐことを目的とした感染予防の手段です。従って、咳エチケットをしたからといって、インフルエンザに罹患している人が早く治るということはありません。症状が軽減することもありません。周囲の人々にインフルエンザなどを感染させないための心配りなのです。

咳エチケットというと、「咳やくしゃみをするときには口や鼻をティッシュやハンカチで覆い、風邪症状のある人はマスクをする」と思っている人が多いと思います。確かに、そのようなことは咳エチケットでは大切なことですが、もう一つ忘れてはならないことがあります。それは手洗いです。

咳やくしゃみをティッシュやハンカチで覆ったときには、手にも鼻汁や唾液が付着することがあります。すなわち、手には病原体が付着していると考えるべきなのです。そのまま手洗いをせずに、ドアノブなどに手を触れると、そこに病原体が付着します。そこで病原体がしばらく生息しているところに、別の人が手を触れると、その手に病原体が移動します。そのまま眼や鼻の粘膜を擦ると、そこから体内に入り込んで感染してしまうのです。このような手を介した感染を防ぐことも大切なのです。

咳やくしゃみをするとき、発熱があるときには咳エチケットをします。咳エチケットはインフルエンザのような感染症のときだけではなく、アレルギー性鼻炎のような非感染性の疾患であっても必要です。マナーですから。