加湿器

加湿器

冬になって寒くなると、各家庭では暖房を入れます。すると、室内の湿度が低下して、空気が乾燥します。乾燥している室内に長時間滞在していると喉が痛くなり、肌がパサパサになってしまいます。湿度が低下するとインフルエンザなどの感染症に罹患しやすくなるということで加湿器を使用している人もいます。

加湿器を利用することは何ら問題ありません。むしろ、適切な湿度を保つことはよいことと思います。しかし、不適切に管理された加湿器は使用してほしくありません。特に、高齢者や抵抗力の低下している人がいる家庭では注意してください。加湿器のタンクの水が何日も交換されずいると、タンクの中に緑膿菌、レジオネラ、カビなどが増殖することがあります。そのような水を用いた加湿は安全とは言えません。抵抗力のある人がこれらの病原体を含んだ湿気を肺に吸い込んでも何もおこらないでしょう。しかし、高齢者や抵抗力の低下している人が吸い込めば肺炎になる可能性があります。スチームファン式やスチーム式の加湿器では水を沸騰して蒸気を作っているので細菌やカビが空気中に散布される心配はないでしょう。しかし、超音波式や気化式では水が沸騰されないので、タンク水がそのままエアロゾルとなって室内空気のなかを漂うことになります。

病院では抵抗力の低下している患者が数多く入院しています。院内では全館暖房が実施され、室内の湿度も一定に保たれていますが、加湿器を病室に持ち込むことを希望される人もいます。このような場合、加湿器の水については慎重に対応しなければなりません。水は毎日交換し、タンクの内側も洗浄するといった管理が必要です。また、タンク水は水道水ではなく、滅菌水や蒸留水が望ましいのです。水道水にはレジオネラや非結核性抗酸菌などが混入していることがあります。また、管理の悪いタンクの水には緑膿菌が繁殖していることがあります。そのような水を沸騰せずに加湿に利用すると、それらの微生物もエアロゾルと一緒に空気中に漂うことになるのです。

レジオネラは温泉などで問題となっている病原体であり、高齢者や抵抗力の低下している人が肺に吸い込めば、重篤な肺炎を引き起こすことがあります。緑膿菌は水が貯まっているところではどこでも増殖できる細菌であり、抵抗力の低下している人が感染すると肺炎や敗血症などの重篤な感染症を合併します。非結核性抗酸菌は慢性的な肺感染症を引き起こします。

抵抗力が正常な人にとって、加湿器は何ら問題を引き起こしません。しかし、抵抗力が低下している人や高齢者では「不適切に管理された加湿器」は重篤な感染症を引き起こす病原体の感染源となるのです。