肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌は急性中耳炎、急性鼻副鼻腔炎、肺炎を引き起こします。稀に、侵襲性肺炎球菌感染症(髄膜炎や菌血症)を合併し、死亡したり後遺症を残したりすることもあります。そのような感染症を防ぐために、小児と高齢者に肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。もちろん、抵抗力の低下している人にも接種が必要です。

肺炎球菌ワクチンといっても2種類あるので気をつけなければなりません。「13価肺炎球菌結合型ワクチン」と「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン」です。この「13価」「23価」とは何のことでしょうか?肺炎球菌といっても1種類の細菌ではありません。90種類以上あるのです。「13価」とか「23価」というのはワクチンの中に13種類、23種類の肺炎球菌の成分が入っているということです。肺炎球菌には90種類以上もあるのに、13種類や23種類しか含まれていないのであれば、殆ど効果が期待できないのではないかと思われるかもしれません。実は、すべての種類が同頻度で感染症を引き起こしているのではないのです。特定の種類の肺炎球菌が高率に感染症を引き起こしているのです。そのような頻度の高い種類の肺炎球菌を集めてワクチンがつくられているのです。

「莢膜ポリサッカライド」というのは肺炎球菌の「皮」のようなものと考えてください。23種類の肺炎球菌の「皮」を集めて作られたのが「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン」ということになります。「結合型」というのは莢膜ポリサッカライドに「毒性をなくしたジフテリア毒素」を結合させて、2歳未満の小児や免疫の低下している人でも免疫を獲得できるようにしたものです。

23価のほうが13価よりもワクチンに含まれている種類が多いので、すべてを23価のワクチンで接種するのがよいのではと思われるかもしれません。しかし、2歳未満の小児では免疫が発達していないので、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンを接種しても、免疫を獲得できないのです。そのような人々に有効なワクチンとして13価肺炎球菌結合型ワクチンが開発されたのです。将来、23価肺炎球菌結合型ワクチンができればと期待しています。

13価肺炎球菌結合型ワクチンは65歳以上の成人に加えて、月齢2ヶ月以上6歳未満の小児に接種可能です。23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンは65歳以上のすべての成人および2歳以上のハイリスクの人々(脾臓のない人、心臓や肺に合併症のある人など)に接種が推奨されています。

小児に肺炎球菌結合型ワクチンが利用できるようになってから、小児での肺炎球菌髄膜炎が激減しました。そして、小児のみならず、65歳以上の人々での侵襲性肺炎球菌感染症が減少したのです。おそらく、ワクチンによって、小児が鼻腔や咽頭に持っている肺炎球菌が消失したため、小児に濃厚接触している高齢者が間接的に守られたのであろうと推定されています。

現在、小児には13価肺炎球菌結合型ワクチンが定期接種されています。また、65歳以上の成人への23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンの接種費用の一部が公費で負担されるようになりました。ただし、平成31年3月31日までは経過処置のため、「年度の初日から当該年度の末日までに65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる者」という条件付きの接種です。公費負担の方は是非とも接種し忘れないようにしましょう。