抗菌薬

抗菌薬

肺炎や膀胱炎などの感染症に罹患すると抗菌薬が処方されることがあります。抗菌薬は抗生物質や抗生剤などと呼ばれることがあるのですが、病院では「抗菌薬」という名称が一般的です。

抗菌薬は体内で増殖している細菌を殺菌するために使用します。入院患者では抗菌薬は点滴で投与されることが殆どですが、外来では1日3回の服用などと内服薬として処方されます。1日の内服回数は抗菌薬によって異なっており、1日1回でよいものと、1日複数回の内服が必要なものがあります。抗菌薬を処方された人はこの回数を必ず守ってほしいと思います。1日3回毎食後の内服を自己判断で1日2回に減らす人がいます。このようなことは絶対に避けてください。

感染症では細菌は病巣で増殖します。そこに抗菌薬が使用されると、病巣での細菌数は激減しますが、すべてが殺菌されるわけではなく、一部の細菌が残ります。そして、時間の経過とともに再び増加してゆくのですが、次の抗菌薬にて、再度、減少します。そして、一部が残存して増殖するけれど、さらに次の抗菌薬にて一層減少します。このように複数回の抗菌薬によって着実に細菌数が減少し、元々、人間が持っている抵抗力と共同して、最終的には感染症を治癒させるのです。しかし、飲み忘れると、細菌に増殖の時間を与えてしまい、次の抗菌薬の効果が薄まってしまうのです。細菌は低い濃度の抗菌薬に長時間曝露すると耐性となることがあります。十分な濃度の抗菌薬ならば細菌に増殖や耐性獲得のチャンスを与えないのですが、不十分な濃度では生き残った細菌のなかから耐性菌のみが選択されてしまうのです。耐性菌は抗菌薬が存在している環境であっても殺菌されず、増殖できる細菌です。そのため、感染症は治癒されません。それだけではありません。耐性菌が発生すると、同居家族に伝播する危険性があります。家族は濃厚接触しているので、病原体が容易に伝播できる状況にあります。耐性菌は抗菌薬を服用している患者のみではなく、同居家族にも影響を与える病原体でもあるのです。

そのような耐性菌の発生と伝播という事態を避けるために、1日3回の服用が必要な抗菌薬は必ず3回内服してください。2回の服用が必要な薬では2回内服してください。必ず、設定された服薬回数は守ってほしいのです。毎食後の服用だから、気分が悪くて食事をとらなければ内服しないというのは誤った判断です。また、自己判断で回数を減らしたり、錠数を変更することも適切な対応ではないのです。