結核とBCGとツベルクリン反応

結核とBCGとツベルクリン反応

ツベルクリン反応が陽性であると、「子どもの頃に接種したBCGが結核に対する免疫をつけてくれた。自分は結核に抵抗力があるから、結核患者に近づいても感染しないから安心だ!」などと思っている人は数多いと思います。実はそうではありません。ツベルクリン反応が陽性であっても、結核菌には感染するのです。

ツベルクリン反応が陽性の人の殆どは過去にBCGを接種したことが陽性の理由となっています(もちろん、結核菌に感染して陽性となっている人もいます)。現在は、BCGは生後6カ月未満の乳児に接種していますが、過去にはツベルクリン反応が陽性となるまで、何度も接種された時期がありました。BCGは幼児での重症結核を予防することには、ある程度有効ですが、成人の結核を予防することについては殆ど有効ではありません。そのため、過去にBCGが接種されてツベルクリン反応が陽性となっている成人は結核菌に抵抗力があると思ってはいけないのです。ツベルクリン反応が陽性であっても結核菌には感染する可能性があるのです。

ツベルクリン反応は結核菌に感染しても、BCGを接種されても陽性となることから、陽性結果がどちらによるものか判断できません。そのため、最近はTスポットという血液検査が実施されています。TスポットはBCGの影響を受けず、結核菌に感染した人で陽性を示します。ただし、すべての結核検査でTスポットが用いられているのでなく、5歳未満の小児ではツベルクリン反応が使用されています。小児は血管が細くて血液採取が困難であることと、未熟ゆえにTスポットが適切なデータを示してくれないからです。

ここで結核についてのお話しをしたいと思います。結核患者に濃厚接触(同室に住居していたなど)すると必ず結核に罹患してしまうかというと、そうではありません。肺結核の患者に濃厚接触することによって、30~40%の人が結核菌に感染します。感染した人の90%以上の人は症状なく、一生を過ごしますが、5~10%の人が結核を発症します。結核を発症した人の半数が結核菌に感染してから2年以内に結核となっているので、結核患者に濃厚接触してから2年間は注意を要します。

肺結核になった人は咳をすることによって結核菌を空気中に漂わせます。すなわち、結核菌は空気感染するのです。そのため、結核患者は陰圧室(空気が室内から室外に漏れ出ないように空気圧を陰圧とした病室)に入院させ、病室に入室する医療従事者はN95マスクという特殊なマスクを使用しています。日常使用しているマスクは顔面とマスクの隙間から空気が漏れこんできます。そのときに、空気中に浮いている結核菌も入り込んでしまうのです。そのようなことを避けるためにN95マスクを使用するのです。N95マスクではマスクと顔面が密着しているので、空気が漏れこまないようになっています