爪と指輪とネイルアート

爪と指輪とネイルアート

多くの人々が指輪をしています。つけ爪をしている人もいます。また、ネイルアートを楽しんでいる人もいます。このようなことは、ファッションとして大切なことの一つと思います。ただ、指輪も爪もネイルアートも手指に関連することなので、病原体が付着していると感染源になりうることを知っていただきたいのです。

まず、指輪についてです。指輪の下の皮膚は手洗いのときに清潔にできない部分です。すなわち、指輪の下の皮膚には極めて多くの細菌が潜んでいると考えてください。そして、指輪の数が増えると細菌数も増えることも判っています。指輪の下に同じ細菌を数か月間も持っている人もいました。しかし、手洗いすれば、「指輪を着用している人」と「指輪を着用していない人」では手指の細菌数が同程度であることが確認されています。

次は、爪についてです。手の爪の下には多数の細菌が潜んでいます。塗りたてのマニキュア液が爪周囲の皮膚の細菌数を増すことはありません。しかし、剥がれかかったマニキュアは爪上で多数の微生物の発育を助けることがあります。それ故、マニキュアが古くなったら除去するのがよろしいと思います。

つけ爪やネイルアートで用いられる材料は爪の平滑な表面をゴツゴツした表面に人為的に変えます。表面が平滑な爪であれば手洗いによって、付着している汚れや病原体を簡単に洗い落とすことができます。しかし、凹凸のある表面では洗い流すことができないので、手洗いしたとしても、汚れなどが残ってしまうのです。すなわち、付け爪やネイルアートの爪の人の方が、自然爪の人に比べて、手洗いの前後いずれの場合でも、指先に細菌を潜ませている可能性は高いのです。

このようなことは決して、指輪、つけ爪、ネイルアートをしないようにと言っているのではありません。抵抗力に何ら問題のない人々では、多少の汚れや病原体が指輪の下や爪に付着していても重大な感染症を引き起こさないからです。しかし、抗がん剤によって抵抗力が低下している患者、何らかの疾患によって免疫が低下している患者、そして、そのような患者をケアしている人では、感染予防のためにも指輪や爪に配慮してほしいのです。

指輪をしていても、手洗いを徹底していれば感染源とはなりません。逆に、手洗いしなければ指輪の数が増えれば増えるほど手指の病原体の数も増えてしまいます。それ故、指輪をしていても構いませんが、食事の前やトイレのあとには必ず手洗いしていただきたいのです。特に、抵抗力の低下している人に直接接触する場合には、必ず手洗いするようにしましょう。つけ爪やネイルアートについても同様です。日常的にはこれらを利用しても構いませんが、抵抗力に問題がある期間や抵抗力の低下している人に接触するときには避けることがよろしいと思います。もちろん、自然爪であっても、短くしておくのがよいことは言うまでもありません。