麻疹

麻疹

麻疹は麻疹ウイルスによる感染症で空気感染します。潜伏期は5〜21日であり、発症すると「前駆期(カタル期)」「発疹期」「回復期」の3つのステージを経過します。「前駆期(カタル期)」では38 ℃程度の発熱が2~4日間続き、倦怠感がみられます。咳嗽、鼻汁、くしゃみといった風邪症状に加えて、目の症状(目の充血や眼脂など)がみられ、それが次第に悪化してゆきます。この時期は発疹がみられないことから、他の疾患と鑑別が困難です。そのため、麻疹であるとは気づかれず、多くの人々にウイルスを伝播させてしまいます。

「発疹期」では前駆期(カタル期)での発熱がやや下降して半日程で再び発熱します。発疹は耳後部、頚部、前額部から始まり、翌日および翌々日には発疹が全身に広がってきます。この発疹期には風邪症状は一層強くなります。「回復期」に入ると解熱し、全身状態が改善してきます。発疹は出現順序に従って消えてゆき、色素沈着がみられます。この頃には、風邪症状も軽快してきます。麻疹では急性耳炎や下痢を合併することがあります。重症気管支肺炎や脳炎を合併することもあり、死亡することもあるので注意が必要です。

麻疹は感染力が極めて強いことが知られています。感染力の指標の一つとして「基礎再生産率」が利用されています。これは、1人の感染者が、誰も免疫を持たない集団に加わったとき、平均して何人に直接感染させるかという人数で表されます。感染力の強いインフルエンザの基礎再生産率は1~2程度ですが、麻疹では18~20と強力な感染力を示しています。すなわち、インフルエンザの9~10倍の感染力であるといえます。インフルエンザでは患者から2m以内に近づいて濃厚な接触をすることによって感染します。しかし、麻疹は廊下ですれ違っただけで感染するくらい感染力が強いのです。麻疹の感染性は症状が完全に消失するまで、または発疹が始まってから4日経過するまでみられるので、この間は他の人々に接触しないようにします。

麻疹を発症した場合、発疹がみられてから7日間は病院に立ち入らないようにしましょう。抵抗力の低下している患者が多数入院している病院に麻疹の患者が立ち入ると大変なことになるからです。そのため、麻疹が疑われるということで、診療所や病院に受診するならば、前もって電話をしておきましょう。そうすれば、病院は麻疹患者を診察するときに、他の患者が麻疹に曝露しないよう手配することができるからです。学校保健安全法では、麻疹の患者は解熱したあと3日が経過するまで出席停止とされています。