MRSA

MRSA

「MRSA」は一般の方々にも名前を轟かせている耐性菌です。「エム・アール・エス・エー」とよばれますが、ときどき「マーサ」と呼ぶ人もいます。何らかの理由で入院し、培養検査が実施された結果、「あなたはMRSAに感染していますね」などと言われると心配してしまうのではないでしょうか?

MRSAは人の皮膚などの常在菌である黄色ブドウ球菌が様々な抗菌薬に耐性となった状態です。すなわち、MRSAは常在菌であるといってよいことになります。常在菌であるということから、何ら症状のない人がMRSAを持っていることは多々あります。特に、鼻腔に好んで生息しています。多くの人々が無意識に鼻に触れ、その手で体の様々なところに触れることから、全身の皮膚にも生息していると考えるのがよいと思います。

MRSAは健康な人が鼻腔や皮膚に持っていても、何ら悪さはしません。いつも通り、仕事や学業をすることができます。しかし、「交通事故で大けがをした」「大きな手術をうけた」「抗がん治療を受けている」「人工呼吸器で治療されている」といった抵抗力が低下した状況になると、肺炎、手術創の感染などを引き起こすことがあります。このようなことから、「MRSAが検出されました」というだけでは心配することはありません。「MRSAによって感染症が引き起こされました」ということが問題なのです。

MRSAは手指で人から人に伝播してゆきます。特に、病院では何らかの病気になった人々が多数入院していることから、入院した、通院している、面会にいったなどの状況では手洗いをすることが大切です。

高齢者は病院に頻繁に受診したり、入院することがあります。そして、入院や受診したときの手洗いが不十分なことがあり、気づかない間に鼻腔にMRSAが生息していることがあるのです。

「MRSAが心配ならば何か抗生物質を飲めば大丈夫だ」と思う人もいるかもしれませんが、そうはいきません。既に述べたようにMRSAは数々の抗菌薬に耐性です。そのため、外来患者に通常処方されている抗菌薬の殆どはMRSAには効果がないのです。MRSA感染症の治療にはMRSAに有効な抗菌薬が使用されなければ効果はないのです。もちろん、MRSAがいるから治療するということは適切ではありません。MRSAによる感染症(肺炎など)がみられたときのみに治療することが大切です。