肺炎

肺炎

一言で「肺炎」といっても、原因は様々であり、簡単には解説できません。普段元気な人が肺炎になったのか、それとも、癌治療などで入院中の人が肺炎になったのかで原因菌は大きく異なります。若い人が肺炎になったのか、高齢者が肺炎になったのかでも異なっているのです。

肺炎はもちろん、肺臓に炎症が引きおこされたものです。原因としては細菌、ウイルス、真菌がありますが、化学物質なども原因となることがあります。ここでは病原体による肺炎について解説します。

普段元気な人が肺炎となった場合、青年ではマイコプラズマ肺炎、中高年では肺炎球菌による肺炎の割合が多いといえます。高齢者では誤嚥性肺炎が多くなります。マイコプラズマ肺炎や肺炎球菌性肺炎では元気な人に病原体が感染して肺炎が引き起こされています。マイコプラズマ肺炎と肺炎球菌性肺炎では治療のために用いる抗菌薬が異なるので、鑑別することが大切です。マイコプラズマ肺炎は比較的若い人で咳が多いという特徴があります。誤嚥性肺炎は高齢者のように嚥下機能が低下している人で多くみられ、飲食物や唾液が肺に流れ落ちることによって肺炎となります。誤嚥性肺炎は嚥下機能が障害されている人で発生するので、抗菌薬で治療したとしても、誤嚥すれば再び肺炎となってしまいます。ときどき、「肺炎が癖になってしまった」「肺炎を繰り返す」などという人がいますが、その多くが誤嚥性肺炎と思ってよいでしょう。この場合には誤嚥しないように食事の形態を変えたり、嚥下訓練したりして誤嚥しない状況を作り出すことが大切です。誤嚥性肺炎は食物の誤嚥によって引き起こされることもありますが、睡眠中に微量の唾液が肺に吸い込まれて発症することも多くみられます。この場合、歯肉や歯垢に常在している細菌も同時に吸い込まれて肺炎となるのです。

入院中の患者が肺炎となったときには原因菌は、元気な人に感染しても何ら症状を呈しない病原体であることがあります。この場合、耐性菌が原因菌になっている可能性があるので、治療も耐性菌にも有効な抗菌薬が用いられることが多いのです。例えば、脳卒中で入院している高齢者が入院中に肺炎となったというものです。入院中であることから、周囲には耐性菌を持った患者が多数いて、そのような人々から耐性菌が伝播してくるのです。

肺炎の症状は発熱と咳ですが、高齢者では発熱がみられないことがあります。そのため、肺炎の発見が遅れてしまうことがあります。もし、高齢者が「食欲がない」「元気がない」「全身がだるい」といった症状を訴えた場合には、まず「肺炎」を疑うことが大切です。