新型カンジダ症

新型カンジダ症

現在、米国では新型カンジダ症の原因病原体として「カンジダ・オーリス」という真菌が問題となっています。カンジダというと、女性ではカンジダ膣炎を思い出すかもしれませんが、生命を脅かすような重篤な感染症を引き起こすことがあるのです。

カンジダ・オーリスは多剤耐性のことがあるので、十分に注意しなければなりません。米国ばかりでなく、カンボジア、インド、イスラエル、ケニア、クウェート、パキスタン、南アフリカ、韓国、ベネズエラ、英国など複数の国々から見つかっているのですが、実は、最初に発見されたのは日本の医療機関だったのです。外耳道の浸出液から見つかりました。

カンジダ・オーリスは新型病原体としてマスコミに取り上げられたので、多くの人々は自分に感染して重篤な感染症になるのではと心配しているかもしれません。この病原体は抵抗力が極端に低下している人で重篤な感染症を引き起こす病原体であり、健康な人々や多少の抵抗力が低下している人では感染症を引き起こしません。日常的に通勤や通学している人では感染症を引き起こさないのです。米国での報告では血液悪性腫瘍、骨髄移植、短腸症候群、脳腫瘍といった重篤な合併症をもっている人で感染症が報告されています。

この病原体で問題なのは、病院で通常用いている抗真菌薬に対して、耐性のことがあるということです。そして、院内感染がみられるということです。しかも、一般病院の検査室ではこの病原体であることを特定できないのです。カンジダ・オーリスであることを確定するためには特殊な検査が必要なのです。

患者さんの体の表面(鼠径部、腋窩、鼻孔、直腸)からカンジダ・オーリスが検出されることが明らかになりました。また、病室の環境表面(マットレス、ベッドサイドテーブル、椅子など)から病原体が検出されたことから、病室の環境表面が汚染されることも判明しました。すなわち、環境表面を介して、病原体が人から人に伝播する可能性が示されたのです。次亜塩素酸ナトリウム溶液や紫外線で消毒すると病原体は検出されなくなるので、病室の消毒は有効なようです。

この病原体が病院内や施設内で広がらないようにしなければなりません。そのためには病院では手指消毒やガウンの装着などを実施します。長期療養型施設でも手指消毒は必要ですが、ガウンなどについては患者さんの状況に合わせて、伝播の危険性を考えつつ判断することになります。病室の清掃はカンジダにも有効な消毒薬を用いて、毎日かつ徹底的に清掃します。