旅行者下痢症

旅行者下痢症

近年の旅行ブームで多くの日本人が海外にでかけています。そして、殆どの人が元気に帰国するのですが、一部の人々は旅行先で何らかの病原体に感染してしまいます。そのなかで、頻度の高いのが「旅行者下痢症」です。これは発展途上国に旅行にいったときに経験することが多い疾患です。

症状は下痢のみではなく、吐き気や嘔吐があったり、腹痛や発熱がみられることもあります。原因として最も多いのが毒素原性大腸菌です。これは腸で毒素を発生する大腸菌であり、旅行者下痢症の原因の3~7割ほどを占めています。次に多いのが細菌性赤痢です。これは1割程度です。それ以外にはサルモネラやキャンピロバクターなどがあります。

これらの病原体は生水、氷、魚介類、乳製品、肉類、生野菜、カットフルーツなどの加熱調理が不十分な料理を食べることによって口から腸に入り込んで感染します。旅行者下痢症は病原体のみではなく、環境変化による不安やストレス、疲労、食習慣の違い(硬水や香辛料)などによって引き起こされることもあります。

旅行者下痢症になった場合どうしたらよいのでしょうか?軽度の下痢ならば時間とともに改善してゆきます。しかし、腹痛や発熱があったり、便に血液が混じっているときなどは医療機関に受診して原因を追究した方がよいでしょう。病院に行った場合には必ず「○○国に○○~○○日まで滞在した」というように渡航歴を必ず伝えましょう。

楽しいはずの海外旅行が旅行者下痢症になってしまったら台無しです。そのため、予防することが大切です。まず、食事の前には石鹸でよく手を洗うことが大切です。手に病原体が付着している状態で、食事することは是非とも避けましょう。水道水も飲まないようにします。ペットボトルや缶入りのミネラルウォーターがよいでしょう。ホテルの部屋に置いてある「水差しの水」は絶対に避けましょう。生野菜サラダやカットフルーツも汚染した水で洗浄されていたり、汚染した手指でカットされているかもしれません。フルーツは手洗いした自分の手でカットしたり剥くのならば大丈夫です。氷の入った飲み物やかき氷も避けましょう。氷は温度が低いので病原体が増殖できないから大丈夫と思い込んでいる人が多いのですが、汚染した水で作成された氷は汚染しています。管理の悪い氷も汚染しているのです。肉、魚、鳥、卵料理は火が十分にとおっていなければ食べません。屋台料理での飲食はとても危険です。うっかりするのは歯磨きの時の水です。水道水を使用するのではなく、ペットボトルのミネラルウォーターを使用しましょう。スパイスの強い料理は胃腸を刺激することがあるので、適度にしましょう。