高病原性トリインフルエンザ

高病原性トリインフルエンザ

ときどき、「○○県○○市の養鶏農場で高病原性トリインフルエンザが発生しました」「○○県の○○市で採取されたコハクチョウの糞便から高病原性トリインフルエンザが検出されました」などという報道がされることがあります。高病原性トリインフルエンザでは何十羽もの鶏が短期間で死ぬことから、人間で流行したら大変なことになるのではと心配になってしまいます。

トリインフルエンザには低病原性と高病原性がありますが、低病原性とか高病原性というのは、鳥においての定義であることを確認したいと思います。ウイルスを鶏の静脈内に注入したときに、その鶏が死んだら「高病原性」であり、死ななければ「低病原性」と定義されています。殆どのトリインフルエンザウイルスは低病原性であり、無症状または軽症(鶏の産卵の効率が低下するか、産卵しなくなる)です。鶏が死ぬことは殆どありません。しかし、一部の低病原性が高病原性に変化することがあります。高病原性になると、家禽(かきん)[鳥類に属する家畜のこと]の間で急速に伝播・拡散して90~100%の家禽が死にます。そのため、鶏小屋に高病原性トリインフルエンザが流行しているかどうかはすぐにわかります。

ここで大切なことは、鶏に高病原性であっても、そのまま人間にも高病原性ということはないということです。これを明確にしておかないと、「(養鶏農場で高病原性トリインフルエンザが発生した)⇒(鶏が大量に死んだ)⇒(周囲の人間にも大流行して、多数の人々が死ぬかもしれない)」というように、鶏の世界と人間の世界を混乱して心配になってしまう人がでてきてしまいます。

それでは、トリインフルエンザはどのように伝播するのでしょうか?感染した鳥は唾液、鼻分泌物、糞便にウイルスを排出します。それらを別の鳥が嘴で突っつくことによって、腸管に入り込んで感染するのです。また、人間や車両や鳥籠などが一つの養鶏農場から別の養鶏農場に移動するときに、それらに付着してインフルエンザウイルスも拡散してゆくのです。そのため、高病原性トリインフルエンザ対策では感染を早期に発見して、その集団すべてを殺滅し、農場間でウイルスを移動させないという対策を講じます。

ときどき、トリインフルエンザはA型かB型かと聞かれることがあります。毎年、人間の間で流行しているインフルエンザはA型とB型ですが、鳥に感染することができるのはA型のみです。従って、高病原性トリインフルエンザはA型です。