リンゴ病

リンゴ病

「リンゴ病」は子どもにおいて頬がリンゴのように赤くなることから名付けられた病名ですが、正式名を「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」と言います。原因ウイルスはヒトパルボウイルスB19です。B19の由来ですが、これは1975年に英国で発見されたときの、研究室での検体番号がB19であったことから、このように命名されました。

リンゴ病は園児や学童でよくみられる感染症であり、潜伏期は14~18日です。両頬が赤くなり、その後、四肢に網状~レース状の発疹がみられるようになります。発疹は7~10日ほどで消失します。成人や高齢者でも感染することがありますが、この場合には手足の関節痛がみられることが多いです。発疹がみられず、関節痛のみの人もいます。

このウイルスは感染者の口や鼻腔から飛び出す飛沫が近くの人の口、鼻、眼の粘膜に付着することによって感染します。ウイルスが付着した手指で粘膜を擦ることによっても感染します。ときどき、リンゴ病で頬が赤くなった子どもに、自分の子どもが近づかないようにする親がいますが、感染力が最も強いのは赤くなったときではなく、赤くなる1週間前なのです。赤くなった頃にもウイルスは排出されますが、かなりウイルス量は減っているので、感染力は殆どありません。そのため、小学校や保育園などで発疹のある学童や園児を出席停止させる必要はありません。

ヒトパルボウイルスB19が問題なのは、妊婦、血液疾患患者などが感染したときです。このウイルスに感染すると赤血球の増殖が一時的に止まってしまうからです。通常、赤血球の寿命は4ヶ月ほどなので、一時的な増殖停止があっても貧血にはなりません。しかし、血液疾患などで赤血球の寿命が短くなっている人では、あっという間に貧血になってしまいます。その結果、重症の貧血になることがあるのです。また、妊婦では胎児にも感染するので、胎児での赤血球の増殖が止まると、胎児が貧血になってしまいます。重症では胎児水腫という、いわゆる「水ぶくれ」状態になってしまうことがあります。この場合、胎児の皮膚がむくみ、腹水や胸水、心嚢水が貯留します。ただし、風疹ウイルスやジカウイルスのような先天異常はありません。

治療は対症療法となります。症状が軽いことが殆どなので、経過を見るだけで十分です。皮膚の掻痒感が強ければ、抗ヒスタミン薬を内服することもあります。ヒトパルボウイルスB19に有効な抗ウイルス薬はありません。