日本脳炎

日本脳炎

日本脳炎はアジア地域(南アジア、東南アジア、東アジア)や北部オーストラリアで流行しているウイルス感染症です。原因ウイルスは日本脳炎ウイルスです。これは蚊(コガタアカイエカ)が媒介する感染症です。ブタが日本脳炎ウイルスに感染すると体内でウイルスが増殖しますが、増殖したときに、蚊が刺して吸血するとウイルスが蚊の体内に入り込みます。そのように感染した蚊によって、人間が刺されると体内に侵入するのです。日本では7~10月にかけて、西日本の多くのブタが日本脳炎ウイルスに感染するので、日本国内であっても関東以西では十分に気をつけなければなりません。そのため、病院では夏季(7~10月)の急性脳炎では日本脳炎を疑って対応しています。

ときどき、日本脳炎に罹患した人の血液を蚊が吸うことによって蚊が感染し、その蚊に刺されることによって、自分が感染するのではないかと心配する人がいますが、そのような心配は必要ありません。脳炎を発症した人では、血液中にウイルスが流れているウイルス血症の時期は過ぎ去ってしまっているので、脳炎の患者の血液を蚊が吸っても蚊が感染することはないのです。

世界で毎年5万人が日本脳炎を発症し、約1万人が死亡しています。しかし、日本脳炎ウイルスに感染した蚊に刺されることによって全ての人が日本脳炎になることはありません。殆どの人は何も症状がみられないのです。300~1,000人に1人の割合で日本脳炎になる程度なのです。

日本脳炎には有効な治療法はありません。そのため、対症療法となり、後遺症を残すことになります。潜伏期は6~16日です。まず、発熱や倦怠感、頭痛やめまい、吐き気などがみられます。その後、意識障害となったり、痙攣や麻痺となったり、様々な神経症状がみられるようになります。

日本脳炎は予防が大切です。そのため、蚊に刺されないようにします。コガタアカイエカは夜間に血液を吸う蚊なので、夜間に外を歩くときなどは蚊よけスプレーなどを用いるようにします。また、日本脳炎ワクチンも大切です。このワクチンの効果は5年程度で低下してくるので、流行地(東南アジアでブタを飼っている農村部)で長期滞在するときには接種することをお勧めします。ワクチンは1~4週間間隔で2回接種し、1年後に1回の追加接種をします。これで基礎免疫が完了となります。基礎免疫が完了すれば、以降は1回の接種で4~5年間有効な免疫がつきます。