抵抗力の低下とは

抵抗力の低下とは

ときどき、「抵抗力が低下してきた」などと言う人がいます。何らかの病気で病院を受診したら、「あなたは現在、抵抗力が低下しているので気をつけましょう」などと言われることもあるかもしれません。それでは「抵抗力の低下」とはいったい何でしょう?

まず、抵抗力が低下したときはどうなるのかということから解説しましょう。「同じ感染症を繰り返して発症する」「感染症がなかなか治癒しない」「通常ならば重症化しないのに重症となった」「通常は何ら悪さをしない病原体による感染症となった」といった状況では抵抗力の低下を疑います。

抵抗力の低下の原因にもさまざまなものがあります。抗がん剤や元々の病気(血液疾患など)によって白血球の中の好中球と呼ばれる細胞が減少すると腸管に住み着いている病原体が増殖して腸管粘膜を通過して血流に入り込み菌血症になってしまうことがあります。この場合には腸管の細菌が原因菌となっています。白血球のなかにリンパ球というのがあるのですが、そのなかでもCD4陽性リンパ球と言われる細胞が減少すると抵抗力が低下します。その典型がエイズです。エイズではヒト免疫不全ウイルスがCD4陽性リンパ球に感染し、これを破壊して発症する感染症です。この細胞は免疫を担当しているので、エイズ患者では免疫が低下するのです。そうすると、通常は何も悪さをしない様々な病原体による感染症が次々とみられるようになるのです。

免疫グロブリンという血液の中を流れている蛋白が減少しても抵抗力が低下します。免疫グロブリンは細菌や毒素などに付着して、それを破壊したり、機能を止めたりする役割があります。骨髄腫、慢性リンパ性白血病、膠原病といった疾患で低下することがあります。また、副腎ステロイドホルモンや免疫抑制剤の使用によっても低下します。この他にも抵抗力の低下する状況や疾患は数多くあります。

抵抗力の低下している人は感染症に脆弱であることから十分な感染予防が必要です。まず、手洗いは徹底します。食事の前、トイレの後、乳幼児のオムツの交換の後、外出から戻ったとき、などは必ず手洗いをします。また、インフルエンザや感冒といった感染症の人には近づかないようにします。そして、人ごみには立ち入らないことも大切です。さらに、インフルエンザ、肺炎球菌などのワクチン接種は必要です。ただ、免疫が低下しているときに接種することは、抵抗力の正常な人への接種に比較してワクチンによる免疫の獲得のレベルが低くなることについては理解しておいてください。麻疹や風疹などの生ワクチンは余りにも抵抗力が低下しているときに接種すると体内でウイルスが増殖してしまうので、抵抗力がある程度回復してから接種することがあります。