感染症予防について

普段から気を付けているつもりでも、毎年なぜか感染してしまう風邪やインフルエンザ。
もしかしたら、普段の対策方法が、どこか間違っているのかも知れません。
そこで、毎日多くの患者さんの診療にあたっておられ、また、医大や看護学校で講師を務められている
耳鼻咽喉科専門医の瀬尾先生に「予防方法のコツ」についてお話を伺ってきました。
先生のお話を参考にして、風邪・インフルエンザから身を守る予防方法を実践してみてください。

Q.感染対策にどうして手洗いが大切なんですか?

実は、風邪やインフルエンザなど、病気を引き起こす感染症の多くは、“手”を介して体内に侵入することが多いと言われています。
例えば、風邪やインフルエンザの流行期には、ドアノブや電車のつり革など、様々な場所にウイルスが付着しています。そういった場所を触った手で、自分の眼や鼻、口を触ったり、食事をしたりすることで、ウイルスが体内に侵入してくるのです。このような状況では、手にウイルスが付着することを未然に防ぐことは困難です。だから、様々な感染症から身を守るためには、手からの侵入を遮断する「手洗い」がとても大切になるのです。手洗いは、帰宅時や食事前だけでなく、電車のつり革や共有のパソコン、トイレのドアや会社の入り口など、不特定多数の人が触るようなものに触れた後にも可能な限り行うことが大切です。
少し神経質に思われるかもしれませんが、風邪やインフルエンザなどの感染予防のためには、頻繁に手洗いを行うことが何より大切なのです。

Q.普段行っている手洗いではダメですか?

きちんと手洗いをしているつもりでも、よく観察してみると、水でサッと濡らすだけで終わってしまっているようなケースも見受けられます。でも実は、水やお湯でサッと流すだけでは、細菌やウイルスは落とせません。
石けんを使ったとしても、石けん自体に消毒効果があるわけではないので、しっかりと時間をかけて、洗い残しがないように丁寧に洗わないと効果は半減してしまいます。
また、冷たい水が嫌だからといって、熱いお湯でゴシゴシ洗うのもNG。皮膚の油分が奪われて、手荒れの原因となってしまいます。荒れた皮膚は、細菌が大変増殖しやすいことが分かっています。
さらに、きちんと手を洗っても、家族で共有のタオルを使うと台無しです。湿ったタオルで増殖した細菌が再び手に付着してしまいます。
以上のように、普段の手洗いでは、感染予防対策として間違った方法もよく見受けられます。それでは、せっかくの手洗いも、感染の抜け道を作るばかりか、逆効果にもなりかねません。
是非この機会に、毎日の手洗い方法を見直して、正しい確実な手洗い習慣を身に付けてください。

Q.正しい手洗いのコツは?

流水と石けんを使い、指先、手の甲、親指、指の間と、洗い残しやすい部分も忘れずに、しっかりと時間をかけて手洗いします。流水はできれば、シャワー状がよいでしょう。時間の目安は、「ハッピーバースデー」の歌を2回歌うぐらいの長さ「約20秒」です。正しい手洗い手順や洗い残しをしやすい箇所は、下の絵を参考にしてみてください。洗い終わったら、流水でしっかりすすぎ、清潔なタオルで充分にふき取ります。

Q.「手ピカジェル」のようなアルコール手指消毒剤はどんな時に役立つの?

手洗いで最も大切なのは、できるかぎり頻繁に行うこと。
ウイルスやバイ菌は、どこに潜んでいるか分からないからです。でも、電車の中や帰宅時の玄関、会社の入り口など、手洗いをしなければならない場所で、水道や石けんは身近にはありません。小さな子どもの場合だと、水道が使える状況でも、きちんと手洗いができなかったり、冷たい水を嫌がったりすることもあるでしょう。
そういったときに、アルコール手指消毒剤はとても役立ちます。水もタオルも必要なく、アルコールをすり込むだけで使えるので、水道や石けんが身近にない場合に便利です。もちろん、小さなお子様にも使えます。
有効成分が80%濃度のアルコールなので、ウイルスや細菌に対しても消毒効果をすばやく発揮します。「消毒剤」というと、ちょっと緊張して構えてしまうかも知れませんが、毎日の手洗い習慣の中に上手に取り入れてみてください。きっと、とても便利で重宝するはずです。
私も診察の際はもちろん、普段の生活でもとっても重宝していますよ。皮膚刺激も少なく、手あれもありません。

Q.マスクでは感染を防げない?

マスクを着用した場合、顔とマスクとの間にはどうしても隙間ができてしまいます。また、ウイルス対策をうたっていても、フィルターの捕集効率は製品によって差があるようです。このため、マスクをすることによってインフルエンザなどの感染を完全に予防することは難しいと考えられます。
マスクの効果を過信しすぎるのはよくないでしょう。
ただし、咳やくしゃみの症状がある人がマスクを着用すると、飛沫の発生を大きく減らすことができます。マスクは「人にうつさない」ためにはとても大切です。マスクを着用する際は、できるだけマスクと顔の間の隙間がないように、自分の顔のサイズに合った製品を選びましょう。
また、マスクを外す際に、ウイルスが手に付いてしまっては、せっかくの予防が台無しになってしまうので、マスクを外した後の手洗いも忘れてはいけません。

Q.感染対策のまとめ
  1. 手洗いをしていない手で、口、鼻、眼に触るのを控えること。
  2. 石けんと水、または、アルコール手指消毒剤を用いて、頻繁に手洗いをすること。特に、不特定多数の人が触れる場所に触った後は、これらを励行すること。
  3. 風邪やインフルエンザが流行っている季節には、できるだけ混雑した場所に行くことを避けること。
  4. 咳やくしゃみの症状がある場合は、できるだけ人混みに出るのを避けること。
    やむを得ない場合は、マスクを着用する。マスクがない場合に咳やくしゃみがでる場合は、ティッシュなどで口を覆い、使用後はすぐに廃棄すること。
  5. できるだけ窓を開け、部屋の空気を換気すること。

瀬尾 達(せお わたる)先生

瀬尾 達(せお わたる)先生プロフィール
昭和37年生まれ。大阪星光学院高校、兵庫医科大学卒。兵庫医科大学耳鼻咽喉科、研修医、医員、助手、医長、講師を経て、尼崎市にて、医療法人瀬尾記念会瀬尾クリニックを開設し、理事長院長。祖父、父、叔父たち、兄弟たち、従兄弟たち、全て耳鼻科医の家系。診療のほか、現在でも、複数の大学講師、看護学校講師など兼任。瀬尾クリニックは、厚生労働省指定研修指定医療機関で診療を通して、研修医の教育訓練も行っている。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本耳鼻咽喉科学会指導責任者なども歴任。マスコミ、テレビ出演多数。
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